効率的なロング走のやり方 ~ 超ロング走は必要か?

マラソン

別記事、中3週間で2回のフルマラソンレースを走るでも紹介したランニングに関する情報サイトRunnersConnectで掲載されているトレーニング手法は、運動生理学に基づく科学的根拠と、実践に基づく裏付けのある理論を特徴として謳っています(しかも”フワフワした”記事ばかりのRunner’s Worldとは違うとやや強気)。巷にあふれるマラソンに関する情報は玉石混淆な中、個人的に腹落ちちする内容が多いと感じており、最近注目しています。

その中で提唱されている、マラソントレーニングプランの中で、ロング走、長距離走の効率的なやり方について体系立った説明がされていたので、今後の参考としてまとめておきたいと思います。この考え方に基づくと、3時間以上/30km以上走るという意味での超ロング走は不要に思えてきます。

マラソントレーニングにおける基本的な考え方

まず、マラソントレーニングにおいては以下の3点が重要であるという考え方があり、長距離走のやり方に関しても、これらの点が理論をベースに組み立てられています。

1.AT値(Aerobic Threshold)の向上

筋肉のエネルギー源としてはグリコーゲンと脂肪がある。グリコーゲンは体内に蓄えられる量に限界がある為、マラソンにおいてはいかに脂肪をエネルギーとして活用するかが重要となる。一方脂肪はエネルギーに変換されるまでに時間がかかる為、脂肪だけではスピードを出すことが出来ない。よって、グリコーゲンと脂肪をバランス良くエネルギー源として使う有酸素運動のレベルを保ちながら、マラソンの距離を最大限速く走れるポイント(AT値)を上げることが重要となる。

2.脂質代謝能力の向上

脂肪はグリコーゲンと比べエネルギーへの変換効率が悪く、エネルギーとして活用できるまでに時間がかかという特徴がある。ただし、脂肪をエネルギーに効率よく変換する能力をトレーニングによって向上させることは可能。効率化には限界があるが、1%改善するだけでも、サブ3.5のランナーの場合3秒/km短縮することができるので、十分意義がある。

3.筋持久力の向上

マラソンの距離を走りきると筋繊維は大きなダメージを受けることになる。マラソンを耐えうる筋持久力をつける為には、適度に筋肉疲労を起こす必要がある。練習でフルマラソンの(に近い)距離を走らなくともトレーニングの疲労は翌日まで持ち越されるという「累積疲労」の考え方によって効率よく筋持久力を鍛えることができる。

ロング走の効果

マラソンにおいては有酸素運動が97%を占める為、有酸素系代謝システム(酸素を消費しながらエネルギーを生み出す仕組み)を鍛えることが主な目的となりますが、Eペースでのロング走は以下の点で効果があると解説しています。

  • 筋繊維あたりの毛細血管の数を増やす
  • 筋繊維内のミオグロビン(筋肉に酸素を蓄える物質)を増やす
  • 筋繊維内のミトコンドリア(エネルギー生産工場)を大きくし、数を増やす。

超ロング走が不要な理由

一方で、上記理論に基づき、30kmを越えたり、3時間を越えるような超ロング走は、以下の観点で不要としています。

1.AT値向上の観点

  • 90分以上のランニングは有酸素運動能力、ミトコンドリアの増加にはさほど繋がらない
  • 3時間以上のランニングは故障のリスクが高まる
  • 3時間以上のランニングは回復に時間がかかる→翌週練習ができない
  • 32km~35kmのEペースランニングだけではAT値は向上しないが、6~8kmのレースペース走を含む28km走はAT値の改善にもつながるマラソン向けトレーニングとなるし、故障のリスクも軽減できる

2.脂質代謝能向上の観点

  • Mペースでの脂質代謝を体に刻むためには、グリコーゲンが少ない状態でのMペース走が必要
  • 32km~35kmのEペースランニングよりも、6~8kmのレースペース走を含む28km走の方が、脂質代謝能向上につながる

3.筋持久力向上の観点

  • Mペースでの筋持久力を鍛えるのに、Eペースランニングは効果がない。2日に分けて走ることで、累積疲労効果で30km走と同等の効果が得られると同時に、回復も早くなる。

効率的な長距離走の種類

1. Fast Finish Long Run

目的:

  • グリコーゲンが少ない状態で、Mペースで脂肪を効率よく活用するよう体に刻み込む。
  • 疲れた状態で速く走ることにフィジカル面、メンタル面両方で慣れる。

トレーニング例(基本):

16マイル(≒26km)を走る場合
10km(Eペース)→8km(Mペース)→8km(Eペース)

トレーニング例(応用):

16マイル(≒26km)を走る場合
5km(Eペース)→8km(Mペース-)→8km(Mペース)→5km(Tペース)

2. Surge Run(緩急走)

目的:

  • 5~8分おきに、60~90秒の10kmレースペース(Tペースよりやや早め)を入れることで、グリコーゲンの利用が促進され、脳にグリコーゲンの節約する信号が送られる。結果、エネルギー源として脂肪の燃焼を促すようになる。
  • 速筋(Type-IIb)、中間筋(Type-IIa)を疲れさせることで、強制的に遅筋(Type-I)の開発を促す。

トレーニング例:

16マイル(≒26km)を走る場合
16km(Eペース)→[90秒(Tペース+)+5分(Eペース)]×5~7回→残り(Eペース)

3. Surge Run w/ Twist(緩急走+)

目的:

  • 脂質代謝能を鍛えるだけでなく、乳酸除去能力も鍛える。
  •  

トレーニング例:

18マイル(≒29km)を走る場合
15km(Eペース)→[90秒(Tペース-)+5分(Mペース)]×8回→残りをEペース

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